『しずく』感想 著者 西加奈子|女ふたりの6つの短編

こんにちは。

はるき ゆかです。

 

昨日のお昼、西加奈子著『しずく』読み終わりました。

実は、私、初・西加奈子でした。
いろんな作品が話題になり、読書好きな友人からも「おもしろいよ!」と聞いていたのですが。
何でもっと早く読まなかったんだと思うほどおもしろかったです!

西加奈子作品、とりあえず、あと2冊購入しました。

そして、本書には「ランドセル」「灰皿」「木蓮」「影」「しずく」「シャワーキャップ」の6つの短編が収められています。

ランドセル

「ランドセル」は、幼馴染の女性二人、くみちゃんとみっちゃんの物語。
読みながら、「クスッ」とするところ満載でした。
西加奈子氏と同じ関西人の私には、ツボなところがたくさんありました。

わざとらしい如何にもな関西弁ではなく、関西女子の会話そのものです。
電車の中で読みはじめて、ときどき「ふっ」と笑う変な人になってしまいました。
切なさと可笑しさの調和が素晴らしい短編でした。

灰 皿

「灰皿」は、大家の蓮田さんと借主で小説家の板崎さん、女性二人の物語。
蓮田さんは愛するご主人を亡くされた一人暮らしのおばあさんです。
とても上品で少女のような心を持った可愛らしい感じの方です。

年の離れた女性二人の「友情」の物語は、とてもハートウォーミングでした。

私は小説を読むとき、いつも俳優さんを勝手にキャスティングして読んでいます。
蓮田さんは八千草薫さんで、板崎さんは仲里依紗さんで読んでいました。
そして、本書を読み終わった昨日、八千草薫さんの訃報を知りました。

八千草薫さんが元タカラジェンヌの娘役のトップスターさんだったことは有名ですね。
母が子供の頃からの宝塚ファンで、八千草薫さんの舞台も拝見していたようで、こんな可愛い顔をした人がこの世に存在するのかと思うほどの可愛らしさだったとよく聞きました。

この訃報を聞いて、昔の八千草薫さんの画像を見ていたら、13歳くらいの頃の写真がありました。
13歳にして既に完成された美人でした。
そして、亡くなるまで、ずっとイメージの崩れない女優さんってそうはいらっしゃらないと思います。

心よりご冥福をお祈り申し上げます。

木 蓮

「木蓮」は、ちょっと結婚を焦っているアラサー女子とバツイチ彼氏の娘・マリ、女の子二人の物語。
彼氏は「自」他ともに認めるとてもおしゃれでかっこいい人。
オーガニック商品の通販会社を経営しています。
元嫁はキャビンアテンダント。(「自」は本書を読んでいただければわかります)

その娘・マリが、何故かとても憎たらしい悪ガキw
ある休日、子供嫌いなアラサー女子が、この悪ガキを預かることになって…。

この作品も、笑いどころ満載で、本当におもしろい!
アラサー女子が幸せになるためのキーパーソンは意外にもマリだった…。

「影」は、色んな意味で「嘘つき」な女性二人の物語。
この作品は、本書の中では少し雰囲気が異なる作品です。
西加奈子氏の執筆の幅の広さが伺えます。

私は、この作品が最も感情移入出来た作品です。
他の作品のように笑える作品ではありませんが、登場人物の「自分という人間を決めつけられるのは、恐ろしいこと」という言葉には首肯せざるを得ないです。

しずく

表題作「しずく」は、同居する雌猫二匹の物語。
猫って、きっと飼い主のことをこんな風に思っているんだろうな。
犬好きな私から見ると、犬はきっとこれと正反対のことを思っているはずだと思います。

西さんは、猫と暮らしている人なのでしょう。おそらく。

この作品が初・西加奈子なので、あとで調べてみます。

シャワーキャップ

「シャワーキャップ」は、母と娘二人の女性の物語。
私自身と母の関係とちょっと似ているなぁと思いました。
うちの場合はもう少しハードな母娘関係ですが…。

どんなことがあっても、母と娘…親子って、切っても切り離せないし、キツく結ばれているものなのだと再確認した気がします。

西加奈子「しずく」の感想 最後に

西加奈子著『しずく』を読んだ感想を書きました。
6つの作品は、どの作品も読後、あったかい気持ちにしてくれます。
このところ、救いのない小説やキツめのエッセイを多めに読んでいたので、西さんに救われた思いです。

猫好きのアラサー女子には、特におすすめの一冊です!


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