『我が心の底の光』感想 著者 貫井徳郎|孤独な心の一筋の光

こんにちは。

はるき ゆかです。

 

昨日の夜、貫井徳郎著『我が心の底の光』読み終わりました。

読みすすめる中で、主人公・(こう)が重ねる詐欺悪事の意味がどこにあるのかが掴めず、終盤わかったと思ったら、更に上を行く「意味」がわかったとき、涙が溢れて止まらなくなりました。

ここまでの「孤独」があるだろうか。

晄の人生は、彼の「一筋の心の底の光」のための復讐だけに生きた人生だったんだなと思うと、やりきれない気持ちになりました。

母親となり、子供を立派に育てているお母さんの偉大さを実感します。

児童虐待がなくなる日はいつ来るのか

裸足の子供

現在、「船戸結愛ちゃん虐待死事件」の裁判員裁判の公判が行われています。

結愛ちゃんの母親である優里被告の被告人質問で、夫の雄大被告から自分自身もDVを受けていたので、言うことを聞くしかなかったなどと証言しています。

 

しかし、優里被告は、児童相談所が家に来たときに追い返しているのですが、そのことをLINEで夫に報告しているのも、「(笑)」などを使って、楽しそうに会話しているのはどういうことなのでしょうか。

夫のご機嫌取り?夫を怖れてのこと?夫のDVのせい?本当にそれだけだった?

 

ちょっと信じられない…。

 

女性の中には、母親になるべきではない人が実際に存在すると、私は思っています。

結局は、子供より自分。子供より男。

小さな子供は母親しか頼ることができず、どんなことをされても母親を求めるものです。

 

この小説の中の晄もそうでした。

 

どれだけ苦しく悲しく孤独であったのでしょうか。

晄の心の底の光

猫と少年

話を戻します。

晄も、母親から壮絶な虐待(ネグレクト)を受けています。

あまりの壮絶さに読む手が止まるほどでした。

晄の母親のような女は絶対に母親になってはいけない。

男に依存していて、だらしなく、現実から目をそらし、無責任なんていうひとつの言葉では表せないような、今が楽しければそれでいいだけの女。

 

母は死に、父親は人を殺し、親戚の家に引き取られた晄。学校でのいじめや貧困、友達と呼べる存在もいないわけではないのに、いつも心を閉ざしています。

晄の背景を知っている同級生たちからは常に距離を置かれている中で、ただ1人、木下怜菜という少女だけは、晄に分け隔てなく、普通に接してくれます。

それも小さな頃のあることがきっかけでした。

 

晄は、ある「計画」の実行を決心していました。

いつ頃からその「計画」を考え始めていたのでしょうか。

中学生のときに不動産関連の本を読み漁っていた頃には、すでに心を決めていたのもしれません。

社会に出た晄は、人生をかけてその「計画」を実行に移します。

 

その「計画」を実行する中で、様々な人々と出会い、少し心を通わせることが出来そうになっても、晄は自分からシャットアウトし、孤独を貫き通します。

最後までその「計画」を完遂するまでは、晄は誰のことも心に受け入れることはしませんでした。

 

人によって最も大切だと思うものは違いますが、私は晄の気持ちがとても良くわかります。

 

晄の心の底の光とは何だったのか…。

衝撃のラストが待ち受けているので、ぜひ、読んでいただきたい一冊です。

映画化希望!

本の感想は以上ですが、この本を読みながら感じたのは、映像が目の前に広がるということです。

おそらく、ネグレクトのシーンなどがTVでは難しそうなので、映画化希望します。

 

勝手な私の希望・配役を書かせてください。

ものすごく豪華キャストですが、この俳優さんを思い浮かべながら、私は読みました。

 

晄:佐藤健(または10年前の山田孝之)

晄の父:加藤雅也
晄の母:尾野真千子

怜菜:桐谷美玲(または山本美月)
慎司:大東駿介

田岡:濱田岳
莉音:今田美桜

秋月:高橋努
花岡:滝藤賢一
花岡妻:江口のりこ

幸代子:余貴美子
黒田:香川照之
朝永:やべきょうすけ

颯太:桐谷健太(または賀来賢人)
黎子:井川遥
佐山:梅沢富美男

(敬称略)

こんな感じのキャストでいかがでしょうか?

母親の存在

私には子供はいないので、子育ての辛さや難しさをどうこうは言えませんが、子供にとってどんな母親に育てられるかで人生の全てが決まると言っても言い過ぎではないと思います。

今回読んだ小説ほど、母親の存在の大きさを感じたことはありませんでした。

最後までお読みいただきありがとうございました。