本を巡る9つの物語ー『さがしもの』感想 著者 角田光代

先ほど、角田光代著『さがしもの』読み終わりました。

本書は、本を巡る9つの短編と1つのエッセイで構成されています。

9つの短編

本書は、「旅する本」「手紙」「彼と私の本棚」「不幸の種」「引き出しの奥」「ミツザワ書店」表題作の「さがしもの」「初バレンタイン」と角田さんのエッセイ1編です。

「彼と私の本棚」は、昔の自分とオーバーラップして、ちょっと泣いてしまいました。

そうなんです。この本の主人公たちは、とても普通の女性たちです。

女性なら誰もがこの短編の中のどれかに似た恋、似た思いをしたことがあるのではないかと感じました。

物語には、大どんでん返しはありませんが、読み終わったあと、ひとり体育座りして、昔の自分に思いを馳せる…そんな短篇集です。

表題作の「さがしもの」の中に出てくる主人公のおばあちゃんのある言葉は、思わず「うん、うん」と、頷きながら、後戻りして何度も読み返してしまいました。

ネタバレなしで感想を書きたいので、ここには書きませんが、読んでいただければ必ず気づいていただけると思います。まさにそう!と。

本を読むということ

図書館の本

本を読むと「生きるってたいへんだけど素晴らしい」といつも思わせてくれます。

今までどの本を読んでも、そう感じてきました。

ハッピーエンドかバッドエンドか、後味の良し悪しではなく、いつもそう思うのです。

言い換えれば、私は「死なないために本を読んでいる」のだと思います。

ちょっと大げさですが、本当に読書が趣味じゃなければ、死んでいたかもしれない(自殺じゃなくて自然死です。都合良すぎますけど)と思うことがたまにあります。

私は、おそらく自分自身のこのちっぽけな人生の中で、死にたくなるほどの試練を与えられたことはないと思います。たぶん。

だけど、「こんなに辛いのに、私はこれから先もまだ生きていかなければならないのか」と、思ったことは何度もあります。

夜、このまま眠って永遠に目が覚めなければいいのにと思ったことも何度もあります。

もちろん、そのたびに、友達や恋人や家族に助けられてきましたが、やはり、私の救いは「本」だったなと思います。

そんなことを、改めて思い起こさせてくれたのがこの『さがしもの』の中の物語たちでした。

最後に

角田光代著「さがしもの」の感想でした。

あとがきも入れて240ページくらいの短編集です。

特に女性におすすめです。

以下の著書についても感想を書いています。

よろしければ合わせてご覧になってみてください。

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