こんにちは。
はるき ゆかです。
やっと、『累犯障害者』読み終わりました。
著者は2000年政策秘書給与流用事件で、実際に服役経験のある山本譲司氏。
山本譲司氏は、刑務所の中での仕事が障害者の受刑者のお世話係だったそうです。
だからこそ書けた本だと思います。
それにしても、読み終わるまでにかなりの時間がかかりました。
並行して何冊か本を読むことがあるのですが、この『累犯障害者』はあまりのつらすぎる内容に、読みすすめるのが正直しんどかったです。
別の本にときどき逃げながら、やっと読み終わりました。
厳しい現実
この読後のやるせなさは、本当に言葉にならないです。
私には、障害者の方はもっと手厚く保護されているという勝手なイメージがありました。
こんな現実があるとは全く知りませんでした。
ろう学校教育や手話についてのエピソードには驚愕しました。
今までの認識が100%覆されたと言っても過言ではないです。じゃあ、手話の意味って…。
障害のある人が微罪な窃盗(おにぎり1つなど)を何度も繰り返し、何十年も刑務所を出たり入ったり。
安部譲二氏の著書などで、刑務所を出たり入ったりしている老人の話などが出てきますが、その現実が障害者の方にもあてはまるとは夢にも思っていませんでした。
『下関駅放火事件』をご存知でしょうか?
私は知らなかったのですが、放火を繰り返し刑務所に出たり入ったりしていた元受刑者が、出所後8日目に刑務所に戻りたいと下関駅で放火し、第二次大戦でも焼けることのなかった下関駅を全焼させた事件。
この放火犯も障害者だったということです。
山本譲司氏も著書の中で述べられていますが、罪を犯す前に福祉と繋げられていたら…。
特にそれが人の命に関わるような犯罪であった場合は、取り返しがつきません。
レッサーパンダ帽の男の事件など、やりきれない気持ちでいっぱいになります。
障害者が犯人であった事件は、マスコミでも取り上げられることが少ないので、結局、あまり世間に知られることがなく、問題視されないということもあるようですね。
恵まれた強い障害者しか知らなかった私
私は、足の不自由な方とろう者の方と一緒に働いていたことがあります。
お二人共、ずっと普通校で学ばれ、国公立大学を卒業されていました。
足の不自由な方は、本当に人柄も良くて明るくて前向きで、仕事のスキルも高く、殆どのことをお一人で出来る方でした。
イメージ的には乙武洋匡さんのような感じの方でした。
ろう者の方は、とても精神的に強い方で、手話の出来ない私たちは筆談で話していたのですが、それを嫌がる男子社員もいて、いじめに近いような態度にも笑顔で対応されていました。
しかし、やはり精神的にきつかったようで体調を崩し、退職されました。
そして、元々時が来れば奥様の実家のお仕事を継がれることになっていたので、少し早くそちらのお仕事につかれたとのお知らせがありました。
本書の中で、ろう者の方の事件がいくつか書かれていますが、本当に「やるせない」としか言いようがありません。
私が接していたお二人は、とても恵まれた障害者の方たちだったんだなと思います。
障害があることは、大変だと思いますが、周囲のちょっとした手助けだけで普通に生活していける障害者もいるんです。
なので、私の中の障害者のイメージは「今の日本では障害者も幸せに楽しく暮らしていける」のが当たり前でした。
本書の中に、ろうあ者で、普通に働いていて障害年金ももらっているのに、ギャンブルで貯金ができない障害者のエピソードが出てきますが、それは障害のせいではなく、その人たち自身の問題です。
それまで受けてきた教育や家庭環境もあるでしょうが、そこに同情の余地はないと思います。
私が一緒に働いていたお二人のように、福祉と自分自身を繋げる知識があり、その方法も知っている人はいいんです。
しかし、「福祉」が何であるかさえわからず、家族のサポートもない知的障害者こそ、もっと福祉と繋げる必要があることは解り切ったことなのに、見て見ぬ振りをする国の杜撰さが残念です。
私自身のある経験
私が、正社員として働いていた会社で、2ヶ月ほど支社に急ぎの書類チェックの応援に行かなければならなくなったことがありました。
自宅から少し離れたところだったのですが、支社には知った顔もたくさんいたので新鮮な気持ちで働いていました。
1ヶ月ほどが過ぎた頃、一人でコンビニにお弁当を買いに行った日のことです。
そのあたりに土地鑑がなかった私は、コンビニを2箇所教えてもらったのですが、同僚が「近い方のコンビニより遠いほうがいいよ」とこっそり教えてくれたのですが、「いや、いや近い方がいいでしょ」と、近いコンビニに行きました。
すると、コンビニ店員さんが体育会系の格闘技とかラグビーとかしてそうな屈強な男子2人で、私が買い物をしているのを目で追っていたので、「このコンビニ、万引が多いのかな?それで行かないほうがいいと言ってたのね」と思っていました。
私がコンビニに入る前に、他にもう一人お客さんが来ていたようでした。突然、半ズボンをはいた体の大きな男の子が大声で歌を歌い始めました。知的障害者の子なんだなというのはすぐにわかりました。
ですが、歌ってるだけだし特に気にせず、普通に買い物をして、最後にドリンク類の冷蔵庫に手を伸ばした途端、その男の子が奇声をあげながら私に向かって走ってきました。
そして、冷蔵庫の取っ手に手を伸ばした私の右手の下から手を伸ばして、拳骨で思いっきり胸を叩かれました。
息が出来なくなるほど手加減なしだったのと、胸の横辺りだったので恥ずかしさもあり、声もでません。
すると、店員さんが走ってきて、その男の子を羽交い締めにしたのですが、屈強な若い男性2人でも抑えきれないくらい興奮して暴れる男の子を何とかお店の外に出しました。
お昼時なのに、人が少ないコンビニ。
それなのに、強そうなバイトの男の子が2人も。
そういうことだったんだ…。
社に帰って、その話をしたら、そのコンビニでは、そういうことが今までにも何度もあったようです。
その日は、胸の痛みがひどいのでそのまま帰らせてもらうことに。
病院に行って、レントゲンも撮りましたが、骨は折れていないけれど、かなりひどい打撲。
右の脇の下から胸の中心に向かって内出血してました。
もちろん、知的障害者の方がみんな乱暴なわけではないと思いますが、正直、今まで生きてきて、一番怖かった経験です。
この経験から、私は知的障害者の方にどう接したらいいのかわからなくなりました。
と、いうより、知的障害者の方から目をそらしてきたのかもしれないし、考えないようにしていたのかもしれません。
答えが出せない
私の友人は、目の不自由な方が横断歩道で困っていたので、腕を貸したそうですが、渡り終わった途端に、胸を触られたことがあります。
友人が声も出せずにいたら、笑いながら「お姉ちゃん、障害者がみんな善人だと思ってたらダメだよ」と言われたそうです。
それ以来、友人は目の不自由な方を見るとそのときのことを思い出すそうです。困っていても、男性だったら声をかけることが出来なくなったそうです。
私にはその気持が痛いほどわかります。
本書には、そんなエピソードも書かれています。
と、言うよりもっと、やるせない内容です。
障害がなくても、暴れる人はいるし、痴漢もいます。
差別する気持ちは全くありません。
ただ、障害者にも色んな人がいます。
障害のない人にも色んな人がいるように。
最後に
「累犯障害者」の感想でした。
私ができることは、何なのでしょうか?
何ができるのか、本書を読み終えたあとも、答えが出せない。
よろしければ、以下の記事も合わせて御覧ください。
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