こんにちは。
はるき ゆかです。
昨日の夜、福田ますみ著「モンスターマザー」読み終わりました。
あなたは、丸子実業高校バレー部のいじめ自殺事件を覚えていますか?
私は、生徒が自ら命を絶っているのに、同校の校長が薄ら笑いを浮かべてことだけがとても印象に残っている事件です。
しかし、事実は全く異なるものでした。
モンスターマザー あらすじ
不登校の男子高校生が久々の登校を目前にして自殺する事件が発生した。かねてから学校の責任を異常ともいえる執念で追及していた母親は、校長を殺人罪で刑事告訴する。弁護士、県会議員、マスコミも加わっての執拗な攻勢を前に、崩壊寸前まで追い込まれる高校側。だが教師たちは真実を求め、反撃に転じる。そして裁判で次々明らかになる驚愕の事実。恐怖の隣人を描いた戦慄のノンフィクション。
新潮文庫「モンスターマザー」裏表紙より引用
バレーボールの名門校・丸子実業高校で起こった「いじめ自殺事件」。
しかし、真実は驚愕の事実だった。
激しやすい人とのつきあい方
この事件は、私自身も記憶の片隅に残っています。
特に、印象に残っているのは、ワイドショーなどで大きく取り上げられた校長の少し薄笑いを受けべたような顔で言い放ったコメントです。
私自身もなんてひどい事件だろうと思ったところで、すぐに事件については忘れてしまっていました。
ほとんどの人が私と同様なのではないでしょうか。
真実を知らず、丸子実業高校バレー部では、ひどいいじめ自殺事件があり、校長が薄笑いを浮かべていたことだけが印象に残ってしまっていると思います。
しかし、著者の福田ますみ氏の徹底した取材で、本書には事件の真実が記されています。
私自身も、この被害者・高山裕太くんの母親のような人に被害を被った一人の人間として、その大変さは嫌というほどわかります。
自分の意見が否定されると激怒し、自分が思ったように事が運ばないと怒鳴り散らし、自分がいつも被害者で、口癖は「訴えてやる」「死んでやる」…。
まともに話し合うことさえできません。
本書を読み進めていても感じたことですが、正直、本当に面倒で「うざい」です…。
まるで、瞬間湯沸かし器のように、突然怒鳴られると普通の人は唖然としてしまい、こちらがどれだけ正当であっても言い返すことさえできません。
相手がだれであれ、大声でわめき、自己弁護し、相手に二の句を継がせないように言葉で畳みかけるように攻撃してきます。
平気で嘘をつき、それを大声でまくし立てているうちに、彼女の中でそれが真実になっていきます。
都合が悪くなると無視を決め込み、自分は時間や相手の都合構わず電話を掛けて来ては、怒鳴り散らした後、ガチャ切り。
第三者には、自分がどれだけ傷つけられたかを話し、知らない人はまんまと騙されてしまいます。
本当にどうしてこんな人に関わってしまったのだろうと、後悔しかありませんでした。
本書に出てくる裕太くんの母親・高山さおりさんは、本書に書かれていることがすべて真実であるとすれば、まさしくモンスターマザー。
周囲の人を唖然とさせるほど迷惑をかけ、疲れさせ、諦めさせて、自分の我を通す彼女のエネルギーのすごさは筆舌に尽くしがたいです。
しかし、こういう人、たまにいるな…というのが私の感想です。
かかわらないわけにはいかない学校
ただの知り合いであれば、かかわらないようにすればいいだけですが、学校関係者だとそうはいきません。
子供を守らなければいけないからです。
裕太くんには、声が出にくいという障害があり、それをバレー部の先輩である山崎翔平くん(仮名)にからかわれ、ハンガーで殴られたことで学校に行けなくなったとされていました。
しかし、真実は全く違うものでした。
また、学校に行けなくなった裕太くんに、学校側が再三にわたって登校するように話したことで、裕太くんは自ら命をたってしまったという母親の言い分についても、疑わしいことがわかってきます。
それにも関わらず、校長は何と殺人罪で告訴されてしまうのです。
ワイドショーなどで報道された薄ら笑いは、インタビューのあとの雑談で語られたものであり、校長のその表情は「癖」のようなものだったことも、同校の教員が語っています。
しかし、その部分だけを切り取られ、報道されていたようです。
いじめ自殺事件は、各地で起こっており、それは悲しむべきことですが、この丸子実業高校の事件に関しては、いじめはなかったということを、本書を読んで初めて知りました。
マスコミは、一見興味を引きそうな事件には食いつきますが、世間が興味を失うと報道しなくなります。
そのため、その事件のその後は意識的に知ろうとしなければ、永遠に第一報だけが独り歩きしてしまいます。
それも、本当に怖いことだと思いました。
校長は殺人罪で訴えられ、裕太くんをいじめ、暴力を振るったとして山崎翔平くん親子が訴えられていますが、裁判は学校側の完全勝訴となっています。
(裁判に関しては母親側から反訴したりなど複雑な様相を呈していますが、母親側の言い分は全て退けられています)
被害者はいつも子供
母親は、裕太くんが小さい頃から育児放棄をしています。
裕太くんは、いつも同じ服を着ていて、お風呂にもきちんと入れてもらっていないようでした。
何度か「お前は邪魔だ」「死んでくれ」なども言われていたようです。
児童相談所も何度か保護しようとしましたが、裕太くんは「僕が離れるとお母さんが可哀想だから」と母親から離れようとしなかったようです。
裕太くんが亡くなってしまったので、彼がなぜ自ら命を絶ったのかは今となってはその真実はわかりません。
裕太くんの母親は、三度離婚しており、その度に元夫へのDVや暴言などを見て育ってきた裕太くんの気持ちを思うと、おのずと彼の自殺の原因がわかるような気がします。
しかし、裕太くんの母親は、DVを受けていたのは自分の方だと語っており、元夫たちの語ることとは真逆です。
平気で嘘をつける人は、実際に存在します。
そんな母親の子供として生まれた裕太くん。
被害者はいつも子供なのです。
最後に
福田ますみ著「モンスターマザー」の感想でした。
こういう人にはかかわりたくない…誰もが思うことですが、誰もがかかわらなくてはならなくなる可能性があるのが、モンスターと呼ばれる人たちなのです。
今はもう亡くなってしまった裕太くんが自ら命を絶った理由を知ることはできませんが、本心を打ち明けることが出来ていたら…と思うととても残念な気持ちになります。
どうぞあなたも真実を知ってください。