こんにちは。
はるき ゆかです。
もうそろそろ秋の声が聞こえ始めてきましたね。そんな、夏の名残りと共に読んでみました『5分で凍る!ぞっとする怖い話』。
他の本を読みながら、箸休め的に1話づつ読んでいたら、今日読み終わりました。
長い間「積ん読」状態だった本ですw
20人のミステリー作家による26話の短編集です。
本当に5分もかからず1話読めるので、電車の中で読むのにおすすめです。
どれも、本当にゾクゾクするような恐怖譚ですが、私は、「チョウセンアサガオ」「オシフィエンチム駅へ」「後追い」「女の勘」が怖かったです。
さすが「このミステリーがすごい!」編集部・編です。
それでは、僭越ながら、私自身が体験した「怖い話」をひとつ書かせていただきます。
実話なので、場所や名前やシチュエーションなどは少し変えています。
あごから上だけ
私の父は、小さな会社を経営していました。営業社員が4人と事務員さんが1人。
そして、父の6人だけの会社です。
ちょうど、夏休みが始まったばかりの7月のことです。
父の会社で、40代くらいの男性社員Yさんを採用しました。
他社で営業の経験もあるとのことで、父はとても期待しているようでした。
会社帰りに何度か父はYさんを家に連れて帰ってきて、2人でお酒を飲んだり食事をしたりしていて、母もYさんのことをとても気に入っているようでした。
Yさんはお話上手で、両親と食事をしているときも、いつも笑い声があふれ、会話も弾んでいたのですが、子供の私にとっては、少し「怖い」人でした。
笑いながら話しているのに、ふとした拍子に、急にとても暗い目をする人だったのです。
しかし、両親はそのことに全く気がついていなかったようです。
私が母に「私、ちょっとYさん、怖い」と言うと、「あら。すごく楽しい人じゃないの。パパの会社の社員さんなんだからそんなこと言わないの」と叱られたりもするほどでした。
夏休みも終わり、9月の終わりくらいのことだったと思います。
いつもは銀行に行くのは、入金・出金とも事務の女性だったのですが、その日は、どういう経緯があったのかはわかりませんが、Yさんが行くことになったらしいのです。
お昼の2時半くらいに出かけて、遅くとも1時間ほどで帰ってくるはずだったそうなのですが、夜になってもYさんは帰って来なかったそうです。
そして、Yさんはそのまま「会社には」来ることはありませんでした。
詳しいことは大人になってから聞いたのですが、そのとき、50万円くらいのお金を持ったままいなくなったそうです。
おそらく、警察にも届けたと思いますし、父がYさんの奥さんに電話をかけたりしていたのを、ぼんやり覚えています。
Yさんの奥さんによると、その日以来、家には帰ってきていないこと、500万円ほどの借金があったこと、ギャンブルが好きだったことなどを聞いたようでした。
父は、Yさんが「変な気を起こさなければいいんだが」と、お金を持ち逃げされていたのに、とても心配していました。
子供だった私は、その意味をいまひとつ理解出来ていませんでした。
両親ともこの話については子供の私には聞かせたくなかったようで、何を聞いても「ゆかちゃんは気にしなくていいの」と言われるだけでした。
そのことがあってから、1週間位経った頃だったと思うのですが、母に夕刊を取ってきてと言われた私は、玄関に向かいました。
玄関を出て郵便受けから夕刊を取ろうとしたら、門の左側の塀の前に誰かが立っていました。
薄暗くなってはいましたが、門灯の明かりではっきりと見えたのですが、それはYさんの横顔でした。
慌てて家に入り、母に「Yさんが来てる!門のところにいたよ!」と言うと、母の顔色がみるみる変わって、「そんなことあるはずがないでしょ…」と言われました。
私は「お金を返しに来たんじゃないの?ちょっと見てきてよ」と言ったら、母は「ゆかちゃん、Yさんね、亡くなったのよ。だから、お家に来ることはないの」と震える声で言ったのです。
これ以後のことは、私が大人になってから聞いた話です。
Yさんは、奥さんの知らない借金が他にもたくさんあったそうです。
そして、お金を持ち逃げした日に自分の生まれた九州に帰って(両親は既に亡くなっていたようですが)、2日後に電車に飛び込んで自ら命を絶ったそうです。
私が家の前で見たのは無くなってから4~5日は経っていたということです。
さらに、大人になってから気がついたのですが、新聞を取りに行ったとき見えたYさんの姿はどう考えてもおかしいのです。
見たのは、あごから上だけでした。
Yさんは身長165cm位の少し小柄な男性でした。
身長182cmあるお隣のお兄ちゃんでも、頭が少し見えるか見えないかくらいなので、うちの塀の内側から、Yさんのあごから上が見えることはありえないんです。
怖い話はお好きですか?
いかがでしたでしょうか?そして、怖い話は、お好きですか?
文章力がないので、怖さが伝わらなかったと思いますが、今でもあの横顔が忘れられません…。
後日談があるのですが、それは、またの機会に。