『リバース』感想 著者 湊かなえ|最後の一行に打ちのめされる

こんにちは。

はるき ゆかです。

 

昨日のお昼に湊かなえ著『リバース』読み終わりました。

ドラマ化もされた本書は、しばらく積読本になっていたのですが、今回読んでみました。

最後の一行の大どんでん返し。

しばらく放心状態です。

『リバース』あらすじ

主人公の深瀬和久は、事務用品会社の平凡なサラリーマンである。

深瀬が唯一自信を持っている趣味であり、楽しみは「コーヒー」。

自宅近くのお気に入りのコーヒー店「クローバー・コーヒー」が、深瀬のたった一つの憩いの場となっている。

そこで知り合った越智美穂子との出会いが、彼の人生に大きな喜びと輝きを与える。

そんな穏やかな日々の中、美穂子に「深瀬和久は人殺しだ」と書かれた匿名の告発文が届く。

それは、深瀬にとって、大学時代のある悲しい秘密を思い起こさせるものだった。

とうとうあの出来事を恋人である美穂子に話さなければならない日がやってきた…。

スクールカーストはいつの時代も

本書は、スクールカーストがひとつの大きなテーマになっています。

田舎町でも、都会でも、「学校という場」にはスクールカーストと呼ばれるものが存在するようです。

それは、学校という空間の中で、クラスの人気者を頂点としたカースト制度のような序列を表すもので、自然発生的に出来上がるものです。

確かに、私の学生時代にもスクールカーストは存在していました。

今思えば、ちょっと下らない取るに足らないものだったような気もしますが…。

しかし、スクールカーストは、本人たちにとっては、学校生活の中で大きな意味を持っています。

けれど、上位にいるものの中にはスクールカーストについて気づいていない人もいるようです。

本書の主人公・深瀬和久は、自分のことをスクールカーストの下層部分に属していると考えています。

その深瀬の大学時代のゼミ仲間、村井、浅見、谷原、そして広沢。

村井、浅見、谷原は、見た目も性格も、おそらく小学生の頃からずっとカースト制度の上層部にいたであろう青年たちで、広沢は、カースト制度の上部に入れるスペックを持っているタイプなのですが、深瀬ととても仲良くしています。

そもそも広沢が、スクールカーストというものに否定的な見方をしているように、読者には感じられます。

自分の目で見て、自然に自分と性格の合う人間を友人に選んでいた…と。

しかし、ずっとスクールカーストの下層部にいた深瀬にとっては、広沢が自分に気を使ってくれているだけで、本当は自分のことを親友だと思っていないのではないか?親友だと思っているのは自分の方だけ…という劣等感を持ち続けています。

スクールカーストの下層部の人間も辛いですが、上層部の人間だと決めつけられてしまうのも、きっと虚しいものなのではないかと、本書で気づかされました。

そして、もっと自由に自然な気持ちで、友人として付き合いたかった広沢は、スクールカーストの上層部とその下とされる友人たちとの架け橋になろうとしていたようにも見えます。

私自身が学生時代にも、スクールカーストはあったと思いますが、私はその層の壁をドスドスぶち破っていたという自覚があります。

私は、スクールカースト上層部(女子ならミス〇〇に選ばれた美人が最上層部になること多し)の人間に、「なに同じ立ち位置に立とうとしてるの?」的なことを言われたことはないですし、おそらく本人たちが自分のことを最下層だと思っているクラスメイトとも仲良く出来ていたと思います。

だから、本書の中の登場人物の中では、広沢に最も共感しています。

劣等感は誰にでもあるけれど、カースト制度なんて本当は存在しないから。

そのため、私は高校時代のある数日間、クラスの女子から「変人」扱いされて無視されたこともあります。

でも、私の方からバリバリ話しかけていたら、その無視も数日で終わりました。

そこが私の「変人」たる所以なのかもしれませんが…。

思わぬ結末の脱力感

本書の結末は、あらかじめ用意された結末だったらしいです。

著者の湊かなえ氏に編集部が結末はこうしてほしいという要望ありきで書かれたのだとか。

最終章で、ほっこりした気持ちになって、「ああ…よかった」と思ったら、最後に奈落の底に落とされます。

湊かなえ氏の小説が「イヤミス(読後感が嫌な気持ちになるミステリーのこと)」の代名詞になっているのはこういった結末にあるのだな…と思いました。

深瀬はこの事実を知って、そのあとどうするのだろうか?と読者に思わせて物語は終わります。

本書は、藤原竜也さん主演でドラマ化もされているようですが、結末はドラマと小説は違うと聞いたような気がします。

私はドラマは観ていないので、ドラマを観た方にもぜひおすすめの一冊です。

最後に

ハッピーエンドの小説は、読後とてもさわやかな気持ちになりますが、湊かなえ氏の小説を読んでいると「イヤミス」の方が、あとあといろんなことを考えられて、「1冊で2度おいしい」感があるのかも…と感じ始めている自分がいます。

まんまと「湊かなえマジック」にかけられています!