『祝山』感想 著者 加門七海|聖なる山を穢すということ

こんにちは。

はるき ゆかです。

 

昨日の夜、加門七海著「祝山」読み終わりました。

ホラー小説ですが、ただ怖いだけではありません。

うかつに肝試しに行くのは、絶対やめようと思わせてくれる小説です。

「祝山」 あらすじ

ホラー作家・鹿角南のもとに、旧友からメールが届く。ある廃墟で「肝試し」をしてから、奇妙な事が続いているというのだ。ネタが拾えれば、と軽い思いで肝試しメンバーに会った鹿角。それが彼女自身をも巻き込む戦慄の日々の始まりだった。一人は突然の死を迎え、他の者も狂気へと駆り立てられてゆくー。著者の実体験を下敷きにした究極のリアルホラー!

光文社文庫「祝山」裏表紙より引用

とても怖いです。

軽はずみな行動は、命取りになるということを痛感させられます…。

面白半分の肝試し

よく若者が面白半分で、ネットなどで話題になっている「出る」という噂の廃墟や廃病院、トンネルなどに肝試しに出かけて行くのをよく聞きます。

そして、YouTubeなどでも人気のコンテンツとなっていますが、私は、これはやるべきではないと常々思っています。

もし、そこで事故や事件があって、そこには被害者がいるわけで、怪異現象が起こるのであれば、そこに渦巻く負の「気」があることは間違いないことだからです。

それを「肝試しだ」と、面白がって出かけていくのは、その霊に対する冒涜でしかないと思います。

何事もなく帰って来れることの方が、難しいことなのではないでしょうか。

 

本書の中でも、職場の同僚4人が噂の廃墟に肝試しに出かけていきます。

そして、生半可な知識を持ったつもりで、神社での行動が失礼極まりないものであれば、「祟り」があって当然だと思います。

名前がつくとそこに魂が宿る

本書の中で最も印象に残っているのは、地名や神社の名前を知ることでそこに意味が生まれるということです。

どの地域でも地名や山の名前、神社の名前には意味があります。

本書ではあまり知られていない山の名前が「祝山」で、その周辺の地名が「境」「神岩」となると、祝山が神として崇められていたことを容易に知ることが出来ます。

 

そして、祝山には別名が存在します。

 

本書の中には、実家の信仰が神道だという若尾木綿子(わかおゆうこ)という女性が出てきます。

主人公の鹿角南(かずのみなみ)と若尾には、霊を感じる力があります。

どちらも、霊能者ではありませんが、感覚的に霊的なものを感知することができるようです。

他に登場人物は、鹿角の旧友である矢口、矢口の同僚である小野寺、田崎という二人の男性です。

この若尾、矢口、小野寺、田崎の4人で廃墟に肝試しに行ったのでした。

そして、この4人に鹿角を含め、5人が奇妙な出来事に巻き込まれていきます。

 

やはり、中途半端に霊感があると自負する人は、中途半端であるがゆえに悲惨な結果を迎えてしまいます。

神の存在を信じるか信じないかではなく、聖なる「山」が存在することは紛れもない事実です。

皮膚感覚での嫌悪感と恐怖

本書に流れる、胃の痛くなるような(鹿角は実際に入院する羽目になりますが)、胸が重くなるような感じが、とても怖いです。

加門氏のその描写が秀逸なのです。

読んでいるこちらまで、肌が粟立つ感じがして、嫌な「気」を感じさせられます。

 

本書は、著者の実体験を下敷きにしているとのことなので、それを知るとさらに恐怖が増幅します。

また、鹿角の旧友である矢口の狂気が本当に恐ろしいです。

メールも、肝試しのあとの言動も。

自分の友達がまるで別人のようになってしまうまでの経緯の描写は、苛々するような唖然とするような嫌な感じがとてもリアルに感じられます。

読後感は、良いような悪いような…。

問題は解決したのかしていないのか…。

何とも言えない嫌な感じがありつつも、結末には明るい未来が見えるような気もするのです。

最後に

加門七海著「祝山」の感想でした。

久しぶりのホラー小説でしたが、おもしろかったです。

やはり、敬うべきものはこの世には絶対的に存在すると強く感じる小説でした。

しばらく積読本になっていたのですが、もっと早く読めばよかったと後悔しています。

ホラー小説好きな方にはもちろん、神秘的なものに興味のある方にもおすすめの一冊です!