こんにちは。
はるき ゆかです。
昨日の夜、「介護殺人」読み終わりました。
私は両親の介護を12年間してきました。
父は脳梗塞で50代で足が不自由になり、母は60代で認知症になりました。
二人の介護が重なっていた頃は、本当に寝る時間がありませんでしたし、認知症の母の言葉に傷つけられることも多かったのですが、「幸い」介護殺人には至りませんでした。
そう、「幸い」なのです。
介護者の苦悩
本書には、介護に疲れ果て、殺人に至った人々のいくつもの物語が綴られています。
読んでいると、本当に他人事ではないと感じますし、私はただただ幸運だったのだと思います。
誰もが自分のことだけを考えて自由に生きたいと思うことは、普通のことです。
できれば、介護などしたくない…というのが本音だと思います。
いろいろな理由をつけて、介護から逃げる人もいます。
自分じゃなくても、他に介護してくれる人がいれば知らん顔をする人もいます。
しかし、愛する家族を懸命に介護し、最終的に追い詰められて、その愛する家族を殺めてしまう…悲劇。
それは、介護を拒否して逃げた人よりずっと家族を愛していたからこその結果だと思います。
もちろん、どんな理由があるにせよ、人の命を奪っていいわけではありませんが…。
清水由貴子さんを想う
本書を読んでいて思い出したのが、タレントの清水由貴子さんのことでした。
清水由貴子さんは、妹さんと共にお母様の介護をされていましたが、2009年に自ら命を絶たれました。
そして、清水さんが自ら命を絶たれたときに、その死を悼む声ももちろんありましたが「結局は親の介護から逃げたんだ」「親を残した無責任な自殺」という心無い声も目にした記憶があります。
自ら命を絶つことは決して肯定できることではありませんが、清水さんの死を非難できる人は結局「対岸の火事」でしかないのだと思います。
介護を経験した人であれば、彼女を非難することなどできないと思います。
介護のかたち
ひとことで「介護」といっても、いろいろな形があります。
親の介護、夫・妻の介護、障害のある子供や兄弟の介護、祖父母の介護…。
それぞれで、気持ちの持ち方もちがうと思います。
例えば、認知症に限って言えば、子供の立場からすると自分の親が認知症になるなど、にわかに信じがたいものなのかもしれません。
特に離れて暮らしていると、なおさらです。
認知症は、初期の段階では今までと何も変わらないときと異常が見られるときの2つの状態が交互に起こります。
そして、今までと変わらないところだけを見て、何も変わっていないじゃないか、年齢的に物忘れが激しくなっただけじゃないかと、現実を直視することができなくなります。
特に、私の周囲に限って言えば、男性はその傾向が高かったように思います。
あくまでも、私の周囲に限ってですが。
本書によると「介護殺人」の加害者の内訳は夫婦間では夫が72%、親子間であれば息子が71%となっています。
加害者となるのは、女性より圧倒的に男性が多いのです。
女性の加害者が少ないのは、女性はみな、自分の人生のどこかでいつか自分が介護者になるケースを想定しているからかもしれません。
周囲の無理解
私の母は、若年性認知症だったので、認知症が重度になるまでは、家事を自分でやろうとしていました。
しかし、ある程度認知症が進んで来た頃から、料理に関しては、ガスの火を消し忘れたり、包丁で手を切ってしまったりすることが多くなったので、私がすべてやるようにしていました。
すると、それを母は伯母(母の姉)に、電話で「家事を取り上げられた」と話していたようです。
病気の母からすると、そう見えても仕方がないことです。
しかし、それを伯母から聞いた従兄に、私は「それは、老人虐待だ」と言われました。
母が怪我をしないようにしたかっただけだと言っても、母のそのときの状態を目の当たりにしていない従兄は譲りませんでした。
母が亡くなった今でも、ときどきそれを言うことがあります。
「お前が家事を取り上げたから認知症が進んだんだ」と。
私にはそれを理解してくれる義姉や従妹がいて、反論してくれたので「幸い」今、精神を病むこともなく、自ら命を絶つこともなく、元気で生きてます。
もし、義姉や従妹がいなかったら、私は「親を虐待死させた娘」だと自分を責めて生きていかなければならなかったかもしれません。
また、その従兄は母が徘徊して行方がわからなくなったときにも、すごい勢いで私を責めました。
それ以来、私は睡眠障害が出てしまい、母のことが気になって眠ることが出来なくなっていきました。(今は大丈夫ですが)
そんな周囲の無理解が悲劇の火種になりかねないということを、知っておく必要があります。
もともと、その従兄とは仲が良かったのですが、今は絶縁状態です。
もう、一生会うことはないと思います。
最後に
「介護殺人ー追いつめられた家族の告白」の感想でした。
本書は、私にとって、とても重く辛いものでしたが、読んでよかったと思います。
今、介護で苦しんでいる人に対して、少しでもなにか力になれればと感じることができました。