『往復書簡』感想 著者 湊かなえ|大切な人に手紙を書いてみたくなる

こんにちは。

はるき ゆかです。

 

昨日、湊かなえ著「往復書簡」読み終わりました。

手紙のやりとりで過去の事件の真相が明らかにされていきます。

「二十年後の宿題」は映画『北のカナリアたち』の原案となった作品です。

十年後の卒業文集

あらすじ

高校時代の、放送部の部員だったあずみ、悦子、静香、千秋、浩一、文哉、良太。

「二一世紀・月姫伝説」という彼らの地元に伝わる伝説をもとにラジオドラマを作るなど、放送部は活発な活動をしていた。

あれから十年後の物語。

静香と浩一の結婚式に出席した元放送部の仲間たち。

それぞれ結婚したり、恋人がいたりと充実した生活を送っているが、千秋だけが行方不明だった。

 

高校時代の部の夏合宿の夜、女子部員たちは好きな人を打ち明け合う。

そして、女子部員たちはみな、思いの深さは様々だが、男子部員の中でも最もハンサムな浩一に好意をよせていた。

今は行方不明の千秋は、モデルとして活動できるほどの美人。

結局、浩一と付き合うことになったのは千秋だった。

しかし、卒業から5年後、千秋、静香、あずみの三人はプチ同窓会をすることになり、月姫伝説の伝わる松月山に登ることになった。

そこで、千秋は顔にケガを負ってしまう。

それ以降、千秋は行方不明になってしまうのだった。

そして、物語は、悦子と静香の手紙のやり取りから始まって…。

感想

女子の嫉妬心や恋愛の駆け引き…同じ女性として、「なんかわかるなぁ」と思いました。

湊かなえ氏独特の女子の嫌な部分をうまく表現されていて、千秋が顔にケガを負ったときには、ドキリとさせられました。

それを、手紙のやりとりで物語を進行させていくところも、一体、これは誰からの手紙なのか途中で様々な疑惑を感じ始めます。

会って話すことと手紙でのやり取り。

最終的には、浩一の妻となった静香の執念みたいなものを感じますが、もっと上手がいた…という結末。

ぜひ、ご自身で読んで見て「えっ!」となってみてください。

二十年後の宿題

あらすじ

竹沢真智子は、定年退職した元小学校教諭。

今は、病気で入院中である。

竹沢先生の教え子の中には、現在高校教諭となっている大場敦史という青年がいた。

竹沢先生にはどうしても気にかかっている六人の生徒がいて、その子たちの今を調べて教えてもらえないだろうかという手紙を大場敦史に送るところから物語が始まります。

竹沢先生には、三十六年間の教師生活の中で、一つのとても悲しい思い出があって…。

感想

この作品は、吉永小百合さんが主演された映画「北のカナリアたち」の原案となっています。

教師という職業は、聖職者と呼ばれるように、一般的には常に何よりも教え子のことを第一に考えるものだと思われています。

しかし、教師といえども人間です。

そして、同じ出来事を通しても、生徒それぞれの先生への思いも変わってくるものなのだと思います。

誤解や思い過ごし、事実がどうであったか、そして、竹沢先生が最後まで教え子たちのことを深く考えていたことがわかる結末。

映画「北のカナリアたち」は残念ながら観ていないのですが、この作品が原案となった映画なら、ぜひ観てみたいと思いました。

本作品は、前半ちょっと人間の本質的なものを見せられる「イヤミス」のようで、最後はとても心温まる結末になっています。

十五年後の補習

あらすじ

国際ボランティア隊のひとりとしてP国に派遣されている純一とその恋人の万里子。

超遠距離恋愛中の二人のエアメールのやりとりで進行する物語。

二人は幼馴染で、中学生時代にとても悲痛な事件を経験していた。

その事件についての真実が、手紙のやりとりの中で少しづつ明らかになっていく。

感想

初めは、遠距離恋愛中の二人の手紙のやり取りがとても微笑ましいのですが、途中から少しづつ物語の展開が怖いものになっていきます。

15年前に起こった同級生の死。

その死の真実が手紙のやりとりの中で、行きつ戻りつしながら明らかになっていくのですが、相手を思ってつく嘘というものがあるのだと痛感します。

そして、人を傷つける言葉を上手に思いつく人間やDVの怖ろしさも、手紙のやりとりの中に出てきます。

そして、湊かなえ作品には、もちろん心温まるものあるのですが、抉られた「人間の本質」を突きつけてくる重さもあって、私はそういう部分が湊かなえ作品にすごく惹かれる部分でもあります。

本作は、それが遺憾なく発揮されています。

しかし、物語の結末は嫌な気持ちになるものではありません。

一年後の連絡網

あらすじ

もう一つの国際ボランティア隊の物語。

「十五年後の補習」の純一のその後である。

国際ボランティア隊の過酷さと幸せなエピソード。

感想

「十五年後の補習」の最後の純一の手紙のあと、万里子はどうなったのだろう…と気になるところでした。

しかし、この短い物語の中で、幸せなエピソードが語られています。

最後は、ホッと笑顔になってしまうとても短い素敵な物語です。

往復書簡 最後に

湊かなえ著「往復書簡」の感想でした。

最近は、連絡などもメールやLINEで済ませてしまうことが多いですが、たまには手紙を書いてみようかな…と思わせてくれる書簡形式の連作短編集です。

ミステリーなので、ちょっと怖い部分もありつつ、最後はホッと心温まるおすすめの一冊です。