『3時のアッコちゃん』感想 著者 柚木麻子|すべての働く女子へ

こんにちは。

はるき ゆかです。

 

柚木麻子著「3時のアッコちゃん」昨日読み終わりました。

大人気シリーズの第2弾です。

今回も澤田美智子と黒川敦子女史コンビの元気が出る2つの短編と他2つの働く女子のための短編集です。

3時のアッコちゃん

あらすじ

澤田美智子は現在、高潮物産の契約社員である。

現在、シャンパンのキャンペーンチームに所属しているが、フランスで人気のシャンパン「ジョセフ」のミニボトルが日本に初上陸するということで、販促会議を行っている。

しかし、販促会議はなかなか進まない…。

そこで、アッコさんが美智子に提案してきたのがイギリス式のアフタヌーンティーだった。

感想

今回も月曜~金曜にかけての1週間の物語です。

アッコさんが、その5日間、毎日お菓子とそれにあった本格的な紅茶を用意して停滞気味の販促会議を活気づかせます。

イギリスでは、どれだけ忙しくても3時のティータイムは欠かさないと言われています。

そして、会議がスムーズに進むことでも有名な土地柄でもあります。

最初は面倒がっていた美智子の先輩や上司も、日を追うごとにアッコさんのティータイムの虜になり、会議も目覚ましく活発になっていきます。

1週間のお茶とお菓子の組み合わせが素晴らしく、想像するだけでおいしそうです。

そして、また仕事を終えたアッコさんが颯爽と去っていくところも相変わらずカッコいいのです。

メトロのアッコちゃん

あらすじ

今回も月曜日から金曜日までの物語。

榎本明海は、ブラック企業で働く27歳の女性。

入社当時はチェーン居酒屋の店長であったが、今は24時間対応のデリバリーサービスのオペレーター部門に配属されている。

長時間労働や上司のパワハラに、明海は、心身共に疲れ切った毎日を送っている。

通勤には、地の底まで続いているのではないかと思うような長い長いエスカレーターを使って地下鉄に乗っている。

現在、アッコさんの「東京ポトフ&スムージー」は、地下鉄構内のスタンドでスムージーを販売している。

明海は、無料キャンペーン中の「東京ポトフ&スムージー」のさまざまな効能のあるスムージーを飲んでいる(飲まされている?)間に、少しづつ生活と自分自身が変化していくのを感じ…。

感想

私も、ブラック企業というかブラックな働き方をしていた時期があります。

毎日の長時間の残業や休日出勤をしていると、人間って頭がぼーっとして、今自分が何をしていて何を感じているのかもわからなくなってきます。

肌荒れや目の下のクマなども、気にしていても対処する時間もない…。

もちろん、朝食を摂る時間もままならない状態です。

仕事をがんばっているはずなのに、疲れてミスをして、上司に叱責され、またさらにがんばろうとして疲れて…悪循環が無限ループとなってしまいます。

 

そんなときに、「東京ポトフ&スムージー」のスムージーに明海は救われます。

明海は、人間らしい生活を手に入れることが身の程知らずなどでは決してないことを、アッコさんに教えられます。

働くためには、体に入れる食べ物や飲み物の重要性を今回もまた気づかせてくれる本作は、読者が、思わず明海を応援したくなります。

そんな優しくあたたかい気持ちにさせてくれる短編です。

シュシュと猪

あらすじ

岸和田塔子は、大手菓子メーカー「ハルストレム」のデザイナーで、6日前に東京から神戸に異動してきた。

新しい住まいは、六甲山の近くの岡本である。

そんな塔子は、誰もが親し気な関西特有の文化になじめるのか、とても不安に思っている。

ある日の朝、塔子の住むマンションの1階テナントの「シュシュ」の専門店の店員らしき若い女性・大島絵梨花が訪ねてくる。

このあたりに出没する雌猪「ベティ」が塔子の出したごみを荒らしているのだという。

大島絵梨花は、実はこのシュシュ専門店の共同経営者の一人で、女子大時代の友人3人で経営しているというセレブなお嬢様だった。

塔子は、だんだんイライラしてきた。

それは嫉妬ではなく、塔子がディスプレイやパッケージデザインのプロであるがための苛立ちだった。

塔子は、一人でいるのが好きな個人主義。

それなのに、3人のギャルに慕われ、さらにベティにも付き纏われて…。

感想

私は、この短編の舞台となった土地に馴染みがあるので、読んでいてとても楽しかったです。

少し、違うかなと思う部分もありましたが、関西独特の文化を好きになれない東京人の塔子の気持ちもよくわかります。

しかし、猪のベティにも目をつけられ、素直で純粋なシュシュ専門店の共同経営者である3人のギャルに慕われ、少しづつ関西色に染まっていく塔子がとても微笑ましいです。

 

塔子は塔子のままで、少しづつでも、関西気質を受け入れてくれたらうれしいなぁと思いながら読み進めていました。

柚木麻子氏の作品は、働く女性の友情物語が多く、本作もまた3人のギャルが塔子を慕い、これから仲良くなっていくであろうことが予感させられる素敵な物語でした。

梅田駅アンダーワールド

あらすじ

若林佐江は、東京から大阪に面接に来た就活生。

もう、11月で、ここで決めないと後がないという状況だった。

この日は、「株式会社エンジェルボックス」の面接の日だった。

時間に余裕を持って出て来たにもかかわらず、雨が降ってしまったことから、地下街を使って面接会場に向かうことに決めた佐江。

しかし、大阪駅近辺の迷路のような地下街に迷ってしまい、佐江は面接時間に遅れてしまう…。

そして、面接してもらうことさえできなかった。

がっくりとうなだれる佐江は、ひとりで、喫茶店に入り、パフェを食べていた。

すると、佐江と同様、道に迷っている就活生らしき女性をウィンドウ越しに見つけ…。

感想

私は、学生時代から今に至るまで、遊ぶのはほぼ梅田。

最近は、梅田の地下街も大きくリニューアルされ、昔のような迷路ではなくなりましたが、初めて来た人がすんなり目的地にたどり着くのは今でもかなり難しいと思います。

本作に出てくる泉の広場や阪神百貨店のスナックパークも、最近は少し行きやすくはなっていますが、佐江がのんびりモーニングを食べていた阪急梅田駅(現・大阪梅田駅)の構内喫茶店から泉の広場は結構な距離があります。

阪急三番街にも川が流れているので、聞く人によっては間違えらたりしますし。

関西人でも迷うのですから。

佐江は、とにかく内定を取らないと自分の社会人生活は始まらないと思っています。

彼氏にも、それは本当にやりたい仕事なの?と聞かれても、佐江には答えられない…。

 

その迷いと梅田近辺の迷路がオーバーラップします。

 

結局、面接に遅れた佐江は、「株式会社エンジェルボックス」には入れませんでしたが、ちょっとおもしろいエピソードがそのあとに出てきます。

どうぞ本書を読んで確認してみてください。

大阪やなぁと思わせてくれます。

 

佐江は、やはり大好きなおばあちゃんの側で働きたいと思っています。

もう、絶対に仕事を決めなければいけないという焦りも、最後には消えていきます。

きっと、佐江のような子には幸せな未来が待っていると願わずにはいられない、そんな作品です。

最後に

柚木麻子著「3時のアッコちゃん」の感想でした。

アッコちゃんシリーズは、本当にいつも元気をもらえます。

今回も、人生に迷う女子全員におすすめの一冊です!