こんにちは。
はるき ゆかです。
昨日の夜、近藤史恵著「賢者はベンチで思索する」を読み終わりました。
本書には、2頭の犬が名脇役として登場します。
ハートウォーミングなミステリー小説です。
「賢者はベンチで思索する」あらすじ
ファミレスでバイトをしているフリーターの久里子。常連にはいつも同じ窓際の席で何時間も粘る国枝という名の老人がいた。近所で毒入りの犬の餌がまかれる事件が連続して起こり、久里子の愛犬アンも誤ってその餌を食べてしまう。犯人は一体誰なのか?事件解決に乗り出したのは、意外なことに国枝老人だった。
文春文庫「賢者はベンチで思索する」裏表紙あらすじより引用
本書は3つの章に分かれた長編ミステリーとなっています。
第一章 ファミレスの老人は公園で賢者になる
あらすじ
専門学校を卒業して、服飾メーカーに勤めるつもりだった主人公の久里子は、それがかなわず、今はファミリーレストラン「ロンド」でアルバイトのウェイトレスをしている。
「ロンド」には一人の常連の老人がいて、いつもコーヒー一杯で何時間も粘っている。
久里子は、バイト先の「ロンド」に特に不満はないし、毎日楽しいが、いつまでもこのままでいいのだろうか?と考えていた。
そんなある日、ひょんなことから久里子の家で犬を飼うことになった。
茶色い中型犬の保護犬で、名前は母がアンと名付けた。
その頃、家の周囲で犬に毒入りの餌を食べさせて殺害するという事件が頻繁に起こっていた。
そして、久里子が目を離したすきに愛犬のアンがその毒入りの餌を食べてしまったことから…。
感想
一時期、公園などに毒入りの食べ物を置いて、犬や猫に食べさせて殺害するという事件が実際にあったことを思い出しました。
私の愛犬を散歩に連れて行っていた公園でも、残忍な事件があったのを覚えています。
第一章は、久里子が目を話したすきに愛犬アンが毒入りの餌を食べてしまったことから、ファミレス「ロンド」の常連客である変わり者の老人・国枝さんと親しくなります。
国枝さんは、いつも「ロンド」の同じ席に座ることに決まっています。
そして、素晴らしい推理力でこの卑劣な事件を鮮やかに解決する国枝老人。
しかし、国枝老人は、久里子が勤める「ロンド」では久里子と目を合わせようともせず、知らん顔をしています。
さらに、そのときどきで、雰囲気が変わり、何となく年齢不詳。
しかし、久里子にとっては、とてもいい相談相手になってくれる優しい老人でした。
とにかく、国枝さんは、謎の多い老人なのです。
第二章 ありがたくない神様
あらすじ
久里子がバイトをしているファミレスに、新しいアルバイトの青年・弓田くんが入る。
久里子は、弓田くんに一目ぼれしてしまうのだった。
弓田くんは、調理師学校に通っており、厨房で働いているので、ウェイトレスの久里子とはそれほど親しくしゃべるチャンスがない。
そんなある日、「ロンド」でちょっとした2つの事件が立て続けに起こる。
「ロンド」で提供するカレーとスパゲッティの味がおかしいという客からのクレームが来て…。
そして、第二章から、七瀬家には国枝老人から譲り受けた保護犬のトモが家族に加わることになる。
感想
特に不満もなく楽しく「ロンド」でバイトをしている久里子でしたが、新しいバイトの弓田くんに一目ぼれしてしまいます。
弓田くんは、普段はクールなハンサムだけど、笑うととても可愛い…と久里子は思っています。
そんなとき、弓田くんが作った料理に、2組のお客様から「味がおかしい」クレームがつけられました。
しかし、本社で調べてもらっても、料理自体には特に何も問題はないのです。
自信を失くして、バイトを辞めようかとまで思っている弓田くんを元気づけるために、久里子はまた国枝老人に相談します。
そして、国枝老人は、またもや鮮やかにその謎を解明してしまいます。
ちょっと認知症気味だとご近所から思われている国枝老人の推理力は、本当に素晴らしいのです。
国枝老人は、一体、何者なのでしょうか…。
第三章 その人の背負ったもの
あらすじ
今日、久里子は弓田くんとの初デート日。
アルバイトの美晴が映画のチケットを譲ってくれたのである。
久里子はそれほど行きたい映画でもなかったのだが、弓田くんが観たい映画だから譲ってくれといい、久里子は思わず私も!と言ってしまい、それなら一緒に行こうということになった。
二人は映画を観たあと、お茶をして、CDショップでは同じミュージシャンが好きだということがわかり、夕食を食べて帰ってきた。
とても、楽しい時間を過ごした久里子でしたが、翌日、バイト先の「ロンド」に行くと、警察がやってきて、近所の小学三年生の男の子が行方不明だと言われ…。
感想
第三章で、国枝老人の正体がわかります。
この章に関しては、ネタバレになってしまうので感想は詳しくは書かない方が良いと思います。
国枝老人は、なぜ、会うときどきで、印象が違うのかという謎も明かされます。
そして、行方不明の少年の事件にも国枝老人は大きく関わっています。
「もう二度と会えないと思う」と、国枝老人に言われる久里子。
国枝老人の正体は思ってもいないものですが、久里子にとっては、ずっと「優しい国枝さん」なのです。
そして、愛犬のトモが、最後に素晴らしい働きをしてくれます。
最後に
近藤史恵著「賢者はベンチで思索する」の感想でした。
国枝老人の過去がどのようなものだったのかも、とても気になります。
そして、やはり犬はいつも人に寄り添ってくれる生き物なんだなと改めて感じさせてくれます。
犬好きな方にはもちろん、どなたにもおすすめの一冊です!